こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

走ったことのない道を探す理由

 「今週末はどこへ行こうかなあ。」

 

週末が晴れそうで、ツーリングに行けそうな時は、GoogleMAPを眺めながら行く場所を考えます。

 

私は知らない場所を目指して、通ったことのない道を走るのが好きです。そういうところを走っていると新鮮な気分になるからです。

 

とはいっても、何年もバイクやクルマで未踏の場所を探して走り回っていると、新しい目的地なんてすぐには見つかりません。それでも無理やり今まで走った場所を除いて、新しい場所に行ってみると、こんな建物があったのか、こんな風景があるのか、と様々な発見や驚き、感動が生まれます。そして家に帰ってからその土地について調べてみると、興味深い歴史物語もあったりするのです。

 

しかしそんな私にも、ただバイクに乗りたいだけ、という気分の時もあります。そういう日は、知っている道を走ります。

 

先日もそんな日でした。新しいタイヤに変えたので、早く皮むきをしたかったのですが、今年のお盆休みは雨が多くて、バイクに乗れる機会があまりありませんでした。連休の最後のほうに雨が降らない日があったので、これは幸いといそいそと走りに出かけました。

 

ただただバイクで走りたかっただけなので、目的地はなく、知っている道の中から、出来るだけ心地よく走れそうな、涼しさを感じる道を選んで走りました。信号が少なくて木陰が多い山道です。

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そういう道ばかりを走っていると、時間があっという間に過ぎてしまいました。最初にこの道を走った時は、もっと長い距離だと感じたのになあ、と思いました。

 

どこかの本に、時間が早く過ぎるのは、感情の起伏と関係があると書かれてありました。

 

人の記憶は、感情の起伏に影響を受けるそうです。喜怒哀楽の出来事は記憶に強く刻まれますが、感情があまり動かなかったことは忘れやすい、ということが生き物の記憶の性質なんだそうです。

 

飼い猫をみていても、怖かったことや驚いたこと、ご飯を食べれて嬉しかったことなどはすぐに覚えて忘れないので、動物の脳はそういう仕組みになっているのだと思います。

 

新しい道を走る時は、予想もしない道の変化に驚いたり、美しい風景に感動したり、心が動きます。その心の動きは、記憶に強く刻まれます。その道を何度も走って慣れてしまうと、新たに記憶することがなくなります。そうすると脳の活動が少なくなるので、時間が早く過ぎるような気がするのです。

 

これは人生における時間の感じ方でも同じようなところがあるのです。子供の頃は一年をとても長く感じるのですが、大人になるにしたがって一年を短く感じるようになります。オヤジになると、一年がほんとうにあっという間です。齢をとればとるほど、その傾向は強くなっていきます。感覚的には小学生の頃の1/3くらいかも。

 

子供の頃は知識が少なく経験がないため、いろんなことに感情が動くので、時間を長く感じて、大人になると様々な経験を積んで驚くことが少なくなり、毎日が同じことの繰り返しになるので、感情が動きにくくなるということが原因のようです。

 

我々は「年とると時間が早いわー」なんて言ってますが、時間の流れる速さは、子供の時も大人になってからも同じなのに、我々の感じ方が年齢を重ねて変化しているだけなのですね。

 

だから、ということでもないのですが、私はバイクに乗っている時間を長く楽しむためには、今まで通っていない新しい道を走るのが良いと思っています。旅も同じ場所より新しい場所のほうがお得でしょう。

 

人生そのもので、感動と驚きのある波乱万丈な生き方をしている人もいるでしょう。でも、そういうリスクのある生き方が出来ない小市民の私です。せめてバイクに乗るときくらいはね。