大型免許が必要なスクーターは、2000年以降に市場に登場しています。ホンダのシルバーウイング600、ヤマハT-MAXシリーズ、スズキSKY-WAVEなどが続いて発売されました。ビッグスクーターのブームでした。
2005年には大型AT免許も新設されています。当初は650ccまで(2019年以降は限定解除された)
昔販売された車種を振り返ると、日本のバイクメーカーの中ではホンダが一番熱心にATバイクを開発してきています。いろいろと斬新な車種がありました。
まずは2008年に発売されたDN-01というバイク。エンジンは688ccの水冷V型2気筒。無段階の変速機を持ったATスポーツという新しいコンセプト。デザインもスポーツバイクとスクーターの両方の特徴があって、とても面白いと思いました。
しかしあっという間の2年後に販売終了。試験投入的なバイクだったのでしょうか。
2013年には、同じようなコンセプトのCTX700というバイクが発売されました。
この排気量は700cc。マニュアルとDCTが選べるようになってました。こちらもスクーターとスポーツバイクの中間のバイクで、乗りやすそうなバイクだと思いました。そして翌年の2014年には、シリーズ展開で1300CCのモデルも追加されました。
堂々とした風格があるデザインですね。しかし、どちらも2016年に販売終了です。あまり売れなかったのでしょう。
その後2014年に出たNM4というバイクのデザインには度肝を抜かれました。
まるでSF映画や漫画の中から出たかのようなデザイン。こいつはすごかった。当初コンセプトバイクだと思ってたら、そのまま発売するのですから、ホンダという会社はすごいなあ、と感心しました。このバイクをベースにしたものが、映画「ゴーストインザシェル」で使われてましたね。映画の改造車よりもこちらのほうがカッコいいですけど。
これは乗ってみたい!と思いましたがその機会もなく、2019年に販売を終了してしまいました。街で走っているのも目撃したことありません。中古車を検索すると数台は売っていましたので、今でも入手は可能です。
でもこうやって見ると、ホンダのバイクデザインはカッコいいけど、ユーザーニーズとちょっとズレているかもしれないな、と思いました。
まず大型ATスポーツバイク、という商品コンセプトはよいと思うのです。二輪車の新規購入者の平均年齢は現在54.7歳で年々高齢化しています。楽なバイク、AT車がこれから売れるぞ、とメーカーが考えるのは当然です。私も大型ATスポーツバイクというジャンルはこれから発展すると思います。
でもだからスクーターライクなデザインばかりになるというのはちょっと違うのではないかと。
そういうバイクはどうしてもプラスチックのカウルや外装部品を多用したものになりますよね。プラスチックは傷みやすいし、傷が入ると味が出るというよりも安っぽくなってしまうんですよね。
バイクに長年乗っている人ほど、そういう質感はよく知っているので、年をとるほどプラスチックの少ないオールドバイクデザインに乗りたくなるのではないかと思うのですよ。
だいたい、取り扱いしにくくて、パワーを持て余す大型バイクにわざわざ乗っているのは、見栄や所有欲を満たすという目的もあるわけなので、安っぽくなるバイクや、いかにもおじさん向けの楽なバイク然としたものは乗りたくない人が少ないのでは。
最近レブル1100のDCTが出ました。
レブルシリーズは、ホンダのバイクでは珍しいプラスチッキーな感じがしないバイクデザインです。このDCTモデルがヒットしたら、オーソドックスなバイクデザインのDCTの車種が増えるのではないかと私は楽しみにしています。