こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

体にあったバイクとは

 

バイクの乗車姿勢はシートとハンドル、ステップの3点の関係で決まります。

 

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長時間乗って疲れないためには、この三つのポイントに体重が分散するとよいといわれてます。お尻ばかり痛くなったり、腕が異常に疲れたり、膝がきつかったりするのは、バイクと体格があっておらず、無理な姿勢になっていることが原因です。

 

私が以前乗っていたCB400は、とても窮屈なバイクでした。

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CB400を選んだ時、自分の体格にあわせてバイクを選ぶという発想は持っていませんでした。CB400に自分の体が馴染んでいくだろうと思っていたのです。

 

ところが乗れば乗るほど、窮屈さを感じるようになっていきました。最初は膝が窮屈だと思うようになり、次はお尻の場所をもっと後ろに下げたいという願望が強くなっていきました。

 

膝が窮屈だという原因は、CB400のシート高さが755mmだからです。ステップとシートの距離が短いと膝を大きく曲げなければいけません。特に私の身長だと、シート高さは850mmがちょうどいいくらいなので、CB400のシートは低すぎたのです。

 

もうひとつの窮屈さの原因はシートの形状でした。シートとハンドルの距離が短くなると上体が起きてきます。少し前傾姿勢で運転する方が体重が分散できるのに、シートの形状によって腰を後ろに下げれなかったということが、窮屈さの原因になっていました。

 

窮屈さも仕方ないだろうと我慢して何年も乗っていたわけですが、SCR950に乗り換えた時、あまりにも楽になったので、自分の体格にあったバイクを選ぶのはとても大事なことだとわかりました。

 

SCR950はシートが高さ830mmでフラットな形状で、ハンドルは広め、ステップは前方の低い位置に配置されているので、CB400と比べて窮屈な感じが全くありません。ものすごく楽です。

 

でも、バイクの設計をする立場で考えたら、こういう不一致はある程度仕方のないことだと思います。日本人の身長分布を示したグラフだと私の身長はマイノリティ。特に日本市場向けのCB400であれば、155-170cmくらいの人が快適に乗れるように設計されているのでしょうね。

 

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別の話になりますが、最近クラッチの位置を調整しなおしました。SCR950のクラッチレバーは遠くて、クラッチ操作がとても疲れるとずっと感じていました。なんでこんなに遠いんだろ、アメリカで企画されたから手の大きいアメリカ人仕様なのか、と思っていたのですが、でも部品としてはそれほど遠くなかったのです。

 

SCR950のハンドルは広いため、指先が外側を向いてしまい、外側に行くほど広くなっているクラッチレバーの外側を握っていました。レバーの位置を腕の延長線上に置いて、クラッチの遊びを少なくして、根元近くを握るようにするとあら不思議、ものすごく軽いレバーに変わったのです。 

  

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クラッチの角度や握り方をいろいろ調整するだけで、腕の筋肉がだいぶ楽になりました。疲れなくなったので、買ったときにすぐやっとけばよかったな、と思いました。

どういうバイクが自分の体格にあっているか、どういう設定にすれば疲れないか、バイクの経験が長い人は、試行錯誤して自分なりの最適解を持っていると思います。しかし買ったバイクが自分にあっていなくて、バイクは乗りにくいとバイクを降りてしまう人もいるのではないかと思います。

 

バイク業界も機能や仕様面をアピールするだけでなく、どうすればいろいろな体格の人がバイクを楽しめるか、そういった面での情報提供をすれば、バイク人口がもっと増えるのではないでしょうか。

 

※イラストのCGはPOSERというソフトに、バイクの3Dデータを読み込んで作成しました。