朝の通勤電車の中から、大阪市内に向かう車に混じって、バイクに乗って通勤している人を見かけることがあります。毎日バイクで出勤できていいですね。雨の日は大変でしょうけど、社会人でバイク通勤できる人が羨ましいです。
大型バイクに乗っている人の多くは、私のように週末しか乗らない人がほとんどではないでしょうか。月に数回しか乗れない人も多いのではないかと思います。
バイクに乗れない週末が続いたりすると、バイクと車を両方持っているのはやっぱり無駄だなあ、どちらか処分したほうがいいのかも、と一瞬考える時があります。実用性を考えると車を残すことになります。でもバイクを処分したら、車で出かけた先にツーリングしているライダーを見かけて、ものすごく後悔するのは間違いありません。
バイクに乗り始めて、やがてバイクを降りる人と、いつまでも降りれない人の違いはなんでしょうか。経済的なこと、家族の意見、事故など、バイクに乗らなくなる理由はいろいろあるとは思いますが、バイクに絶対乗り続けたい、と思えば何とでもなるものです。やはりバイクを降りてしまう時は、バイクに価値を感じなくなった時でしょう。
人生を生きていく上で、私たちはいろんな決断をしなければいけません。自分の人生に責任を持つということは、どう生きていくか自分自身で決めることです。誰かの指示通り考えずに生きるのは、自分の人生とはいえません。
自分の生き方を決めるのは、いろんな選択をするということだと思います。生きていく上での選択は、小さいことでは、何を食べるか、何を着るか、日常の些細なことから、どんな仕事をするか、誰と結婚するのか、どこに家を買うのか、という大きなことまでいろいろあります。人生は選択の連続であり、いい選択をしようとすると、それなりに考えなければならないので、選択はエネルギーを必要とします。
アップルのスティーブン・ジョブスは、黒いタートルネックとデニムをいつも着ていました。服を選ぶという行為に、自分の脳を使いたくなかったともいわれています。あの天才のジョブスですらそうなんです。毎日考えるのがめんどくさい人は、考えなくてもすむように、行動を単純化したりルーチン化したり、他人に選択を委ねてしまいます。
でもすべての選択を完全に避けるといいうことは出来ません。生きていく以上、必ず選択を求められます。その場合、人はどれが自分にとって都合がよいか考えなければいけません。すべての人がすべて同じ選択をするとは限りません。合理的な思考の人間であれば合理的に、感覚的な人間であれば感性によって判断します。これは個人差がいろいろあって、合理性といっても誰しも同じ結論に至るわけでもなく、感性的なところでいえば、もっと多様化しています。
バイクの話に戻ります。車とバイクを両方持つのは無駄だし、経済的でないし、通勤は車を使うほうがよい、と考えるのは合理的な考えで、バイクは危険で経済的でない、所有するのは無駄である、というのも間違ってはいません。バイクに乗ると気持ちがいいから、月一度しか乗らなくても所有しておきたい、と考えるのも、誰にも迷惑をかけていなければよいのです。（環境問題は置いておいて）
だらしない亭主と、なかなか別れない女性がいたとします。根気がなくて、仕事も続かないし、酒癖が悪くて暴力も振るうし浮気もするご主人と、一緒にいるのはあなたのためになりません、と他人が合理的な説得をしたって無駄なことがあります。本人は合理性ではなく、感性でその男性と一緒にいることを選んでいるのですから、理屈ではないのです。
バイクと暴力亭主では大違いですが、ある部分共通性があります。理屈じゃないんだよ、というところです。
私の場合、バイクの価値を言うと、明け方空が白む時間にバイクのエンジンをかけて、車の少ない道路へ走り出す時の高揚感、青葉や紅葉のシーズンの山道を走り抜ける時の爽快感、走りつかれた時に入る温泉のありがたさ等、生を実感できて、心が震えるいくつもの感動と、その記憶でしょうか。そういうものは生きていく上で役にたちません。でも私にとって大切なものなのです。
バイクを降りない人というのは、人生の中で合理性よりも感性を優先させる人ではないでしょうか。
冬になってくると一日がだんだんと短く感じるようになってきます。何をするか考えて、行動を早く起こさないとあっという間に一日が終わってしまいます。今週末もバイクに乗ろうと思いながら、いろいろ用事をしていて、出かけるタイミングを失ってしまいました。そういうところは合理的に行動しないとダメですね。
