こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

シンプルな表現と曖昧な表現

デザインの仕事をしておりますが、デザインのコンセプトの軸として、シンプルにクリアにする方向と、曖昧でぼんやりさせるという方向の二つあると思っています。

 

デザインは何かの目的が必ずありますので、何か伝えたいこと、わかってもらいたいことがある場合は、シンプルでクリアというのは、明確でわかりやすい方法です。要素を単純化し、関係ないものをできるだけ排除すれば、デザインはクリアになります。飾りは不要で、とにかくシンプルが一番。

 

私はよくノイズを排除する、という表現を使います。伝えたい事に直接関係ないものは全てノイズ。それって本当にいるの?邪魔なだけじゃないの?っていうことをチェックしながら考えます。

 

でもシンプルにするだけでは、ほとんどの場合、何か足りない感じになります。そこに心地よさとか、快適さがないと、人はいいと思いません。つまらない。興味がわかない。惹かれない、となります。

 

そこで、うるさくないような味付けが必要です。デザインで使うのは色です。色はひとの心地よさに影響する大事な道具でありながら、要素としてはとてもシンプル。うるさくないように、効果的に色を少し使うというのが最近のトレンドですね。

 

では、もうひとつの曖昧さを使う表現手法というのは、どういうことか。それは直接的にわかりやすく伝えないこと。情報を全て出さずに、あえて輪郭をぼんやりさせること。

 

でも何が言いたいのかよくわからん、というだけでは人の興味をひかない。ぼんやりしているが魅力的な何かによって、想像をかきたて、人を引き寄せなければならない。

 

シンプルに伝えられる情報と、そうでないものがあります。どこよりも安い、どこよりも早い、とか定量的に語れる内容であれば、シンプルに伝えればよいけど、味が美味いとか心地よいとか、定性的な価値については、シンプルに伝えられません。

 

言葉でシンプルに伝えると、「美味い」「楽しい」「心地よい」などですが、そんなこと言われても興味わかないです。そこはあえて曖昧さでの表現が必要ですね。