こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

バイクのウインカーにまつわる話

数週間前の休日、亀岡の9号線をバイクで走っていました。

 

信号で停まった時、後ろを走っていたカワサキ(だったと思います)に乗ったライダーが私の左側に停まって、私に向かって手を見せて、グーとパーを何度か繰り返しました。ハッと思って自分のバイクのウインカーを見ると点滅していました。

 

どうやら先ほど交差点を左折して9号線に出たときから、ウインカーを切り忘れてずっと点滅させながら走っていたようです。そのライダーは、私の後ろを走っていて、切り忘れを親切にわざわざ教えてくれたのですね。

 

ありがとう!と声に出してお礼をいいたかったのですが、お互いヘルメットを被っていて、おまけにエンジン音がうるさいので、私は相手と同じように無言の会釈で感謝を伝えました。

 

バイクに乗っていると、たまにやってしまうのが、こうしたウインカーの消し忘れ。バイクのウインカーには、車のような自動復帰がついていませんから、自分でスイッチを元に戻さなければいけません。曲がった後に、何かに気をとられて消し忘れることがたまにあるのですね。そしてカッチカッチという音も聞こえないので、メーターも見ないで走っているとウインカー出しっぱなしに気がつかないのです。

 

マスツーリングに行くと、一緒に走っている人が消し忘れているのを見ることがありますし、一人でツーリングに行っても、他のライダーが消し忘れているのを見かけることもありますから、誰でもやってしまうのではないでしょうか。

 

ウインカーは、曲がる前、車線を変える前に出すのがルールですので、先行車がウインカーをずっと出しっぱなしで走っていると、後ろの車は困ります。バイクに乗ったことがある人は、消し忘れに身に覚えがあるため、「あーやっちゃてるなあ」と思って、気づいていないなら教えてあげよう、という気持ちになります。見ず知らずの他人でも、ライダー同士はなんとなく仲間気分があるからです。

 

でも、ライダーの仲間気分が、一方的な片思いになることもあります。

 

別の日ですが、私は京都の山中をバイクで走っていました。細くて道の状態も悪く、左に山、右に崖という、ガードレールもない山道です。車幅は車一台と少しだけ。アップダウンはさほどありませんでしたが、くねくねと曲がりくねっていますので、初めて走ると少しビビッてしまう道路です。

 

ただ、私は何度か走っているので、怖がるというより楽しく気持ちよく走っていました。

 

少し早めに走っていると、前方にバイクが走っているのが見えました。250ccのオフロードバイクのようです。こういうところはオフロードの方が走りやすいなあ、オフロードの走りに、私の愛車、なんちゃってスクランブラーのSCR9850がどこまでついていけるだろう、という気持ちが生まれて、車間距離を維持しながら、一生懸命くっついて走っていました。

 

オフロードバイクのライダーは、どんどんペースを早くして走っていきます。私も負けじと運転に集中しました。しばらく走っていたら、そのオフロード車はウインカーを出して止まりました。そんなに急ぐなら、ということで私に先を譲ってくれたのです。

 

いや、一緒に走りたかっただけなんです。もしかしたら、後ろから煽っているように感じちゃいました?ごめんなさいね。

 

と、言うことは伝えずに、私は片手をあげて挨拶して、先に行かせてもらいました。

 

そういえば、車で後続車にお礼を伝えるときは、ハザードを出すのが慣習になってますが、バイク同士ではやらないですね。

 

道を譲られた場合に、バイクでハザードを出している人を見たことがありません。バイク乗り同士のあいさつといえば、体で表現しますよね。たいてい手を上げて挨拶されてますし、私もそうします。

 

車の場合でも、運転者の体が相手に見えるなら、バイクのように手を上げたり、体でお礼を示すのが礼儀なのでしょう。それができないからハザードランプを使うのです。

 

体の動きで何かを伝えられるのが、バイクのいいところですね。