こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

SCR950の希少価値について

惚れて一緒になっても、三年くらいたつとマンネリに陥ってしまうのが、人間の恋愛。その理由は、恋愛ホルモンが三年たつと出なくなるかららしいです。最初の頃のトキメキが無くなってしまうのは、 なんとフェニルエチルアミンという脳内物質が出なくなるから、なんて夢がない話ですが、やがて家族に対する愛情ホルモンに変わるので、なんだかんだとうまくできているのでしょうね。

 

バイクとライダーの関係も、恋愛と同じようなもの。ホルモンは関係しませんが、好きで買った新車も、三年目の車検を超えたあたりから、別のバイクへの乗り替えを検討し始める人も多いのではないかと思います。

 

乗り換えたいと思う理由は、違うバイクに乗ったら、何か新しい刺激があるのではないか、もっと楽しいのではないかと、刺激が期待できるからですね。もしかしたら恋愛中毒に似ているのかも。新しい恋人は刺激を与えてくれる、というやつですか。

 

今乗っているSCR950は、かなり気に入ってはいるのですが、別のバイクのことも考えることはあります。重いしハンドルのきれ角が狭く、オフロードではあまり使えないので、オフ車に乗り換えてみたらどうだろう、とたまに考えます。

 

しかし、本当にオフロードに乗り換えてしまうと、普通の道を走っているときのドコドコ感や、でかいモーターサイクルを操っている感覚が無くなってしまうので、それはもったいない。第一、毎週毎週オフに走りに行くほど好きでもありませんし。まあ、そんなことを考えるのも楽しいわけです。

 


先日、道の駅で知らないライダーに話しかけられました。

 

「これってヤマハのバイク?   なんか見たことないなあ。950ccなの?」

「ヤマハのバイクですよ。もう売ってないモデルです。ボルトをスクランブラーにしたやつなんです。人気が無くてすぐに生産中止になったんですよ。」

「へー、なんか かっこいいね。ベルトドライブかあ。」

 

などと会話をしました。

 

そのライダーと別れて出発して、走りながらふと気づきました。そういえば、SCR950に乗り換えてから、バイクについて話しかけられることって多くなったなあ、と。

 

以前CB400に乗ってた頃、他のライダーからバイクのことで話しかけられたりしたことは、一度もありませんでした。道の駅にとまっているバイクは大型ばかりだし、中型(普通)の教習用でも使われるCB400に興味を持つライダーなんていません。たまに田舎のほうでお年寄りに「兄ちゃんおっきなバイクやなあ。」ということはありましたが。

 

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おまけにSCR950は、生産中止にもなったモデルです。もともと走っているバイクも少ない上に、今後どんどん希少価値が出るバイクです。今まで、他にSCR950に乗っている人に出会ったことはありません。

 

そういう意味では、乗り換えるのは勿体ないかもしれません。SCR950を買った人が、日本に何人いるのか私は知りませんが、たぶんもう半分以上が別のバイクに乗り換えているのではないかと思いますし、大切に乗る価値もあります。

 

それに、他のバイクのことを考えていても、このバイクに乗ると、こんないいバイクないなあ、とか思ってしまうのですよね。それはこのバイクの特別な乗り味からくるのだと思うのです。

 

このバイクの操縦感覚はかなり異端です、通常のバイクは、人間が機械に近づいて、一体感を出して走りますが、SCRは一体感というよりも、例えるなら走る機械生命体を操っている感じ、とでもいうのか、ちょっと方向性が異なるというか。

 

馬に例えるなら、競走馬に乗る騎手と、暴れ馬に乗るカウボーイのような差というか。

 

たぶん広いハンドルと、自由なフラットシート、空冷2気筒の振動、太いトルクなどが、そういう感覚を演出しているのだと思うのですが、それがなんともいえない自由な感じの乗り味になっているのです。

 

カスタムなんかしなくても、そのままで珍しいバイクになっているのです。

 

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乗り換えるのは、まだまだ勿体ない、という話でした。

 

でもなんでこんなバイクを企画して、すぐに人気なくなったのかなあ、などと考えているとふと思いつきました。

 

そうか、ハーレーのスクランブラーか!ネットで調べてみると、アメリカでは、ハーレーのスクランブラー改造って結構あります。そりゃアメリカだったら、ハーレーをオフにして、ダートで走るのっていっぱいあるだろうなあ、と思いました。

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ヤマハの人はそれを見て、SCR950の企画をたてたのかもしれません。でも結果的に売れなかった。カスタムして楽しむものを量産化するのは難しいのかもしれませんね。