こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

自己肯定感とセルフ・ネグレクト

「自分が嫌い」と思うことは誰にでもあると思います。自分の行いを反省して、より正しく生きようというきっかけになるのであれば、自己嫌悪の感情はあってもよいと思います。

 

よくないのは、自分が嫌いで自分なんかどうなってもいいんだ、と自暴自棄になることです。

 

自暴自棄になると、自分を大切にしない行為をしてしまいます。例えば、過度な飲酒や栄養を考えない食事など、体に悪い習慣を続けたりします。治療の必要がある病気を放置したりすることもあります。部屋を掃除せず、不潔な部屋に住み続けたり。また将来を考えずに、自堕落な生活をしたり、浪費や借金、ギャンブルをしたりする。対人関係でいえば、自分にとって大切な人を傷つけてしまったり、自分を害する人と離れられなかったり。

 

自分が嫌いな人は、自分にとってよくないことだとわかりながらも、自虐的で破滅的な行動をしてしまうのです。

 

そういう行為をセルフ・ネグレクトといいます。ネグレクトは虐待を意味しますが、文字通り自分自身に対して虐待を行うことです。

 

私もそういう面が昔から多少ありました。俺なんてどうなってもいいんだ、と良くないことをしてしまうことがありました。

 

何故そういう自分になったのかを自己分析すると、生まれ育った環境や家族との関係、自分自身の能力や身体に対するコンプレックスなど、子供の頃に自己肯定感を健全に育成できなかったという原因を、自分の人生の中に見つけることが出来ます。 

 

この子供の頃のトラウマとかコンプレックスというネガティブな記憶は、とても厄介なもので、大人になって精神的に成長したとしても、ふとした時に心を黒く塗りつぶしてしまうことがあると思います。

  

 コロナ禍の今年、有名な若い俳優さん達が続けて自死されました。動機について考察した記事の中に、複雑な家族関係がありました。子供の頃から自己肯定感が少なく、自分なんていなくなればいいんだ、と思うようなことが少なからずあったのではないか、大人になって頑張って生きていたのにどこかで心が折れてしまったのではないか、などと彼らの心境を想像させられました。自ら死を選ぶほど、心が苦しみで満たされてしまったのでしょう。

 

どんなに親しい間柄でも、人の心を完全には理解できません。彼らが死を選んだ本当の心の内は、誰にもわかりません。もし記事にあるように、子供の頃の複雑な事情に、今の人生が影響されてしまったとすれば、とても残念なことだと思います。

 

生きてさえいれば、新たに学ぶことも増え続けるし、新たに生きる意味を見つけることもできたでしょう。自分とは世界が違う遠い存在ではありますが、若い彼らの選択に心が痛みました。

 

最近読んだ記号論の本に、年をとって早く時間が進むのは、感情の変化が少なくなっているからだ、というような説明がありました。人間の思考や認知のベースは、その人の知識や記憶によって左右されますが、その記憶は感情というものが強く影響しているということ。感情を伴う経験が記憶にしっかりと残り、感情を伴わない経験はすぐに忘れていくと書いてありました。

 

子供の頃は世の中のことが何もわからず、感情が大きく揺さぶられて、知識や記憶がつくられ、それがその人のベースになっているようです。悲しい子供の思いは、人格の根っこから消えることはない、ということでしょうか。

 

自殺する人は年々減ってきていたのに、今年はコロナの影響もあるのか、増えているようです。

 

月並みな言葉ですが、せっかく生まれてきたたのです。自分を大切にしましょう。

 

もし子供の頃に辛い思いをしていて、それが大人になった今でも苦しいのであれば、楽しいことをいっぱいして記憶を上書きしましょう。自分が感動することを探しましょう。

 

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