こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

レオナルド・ダ・ヴィンチから学ぶこと

 

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ウォルター・アイザックソンが書いた、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記本をやっと読了しました。ウォルター・アイザックソンは、アップルのスティーブ・ジョブスの伝記本を書いた人です。ジョブスの赤裸々な性格(悪いところも含めて)を描いた前作はヒットました。次の題材に、レオナルド・ダ・ヴィンチを選んだということは、ビジネス系の伝記作家ではなく芸術家に興味があったんですね。ジョブスもビジネスマンというよりアーティストみたいな人ですから。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの本は、上下巻でかなりの読みごたえがありました。レオナルドのことはあまり詳しく知らなかったので、途中読むのがしんどくなって1ケ月くらいかかってしまいましたが、レオナルドのことを詳しく知ることが出来る良書であると思います。

 

西洋芸術にあまり知見がない人のレオナルドに対する知識は、「ミロのヴィーナス」「最後の晩餐」の画家である、というくらいのもので、何故レオナルド・ダ・ヴィンチがこれほどまで偉大な芸術家と尊敬されているのか、いまひとつわかっていません。

 

この本では、レオナルド・ダ・ヴィンチの一生、つまり彼が何に取り組み、何をつくって、何を中途半端に投げ出したか、膨大なスケッチをガイドにしながら、わかりやすく書かれています。時代や社会的な背景も含めて、レオナルド・ダ・ヴィンチがどのように生きたかが、理解できました。レオナルドの膨大なスケッチに関する画集を持っていたので、それを見ながら読みましたので、もし読まれる方がいたら画集も同時に買われるといいでしょう。

 

特に印象深かったことは、レオナルドの、常人ではありえない観察力と創造へのモチベーション。ちょっと偏執的で怖いくらいの集中力。天才を天才たらしめるものは、やはり物事に対する集中力なんだろうなあ、とあらためて思いました。そういうところはジョブスと共通するところがありますね。

 

どうしてもこれをやりたい、と強く願うことは叶ったりするものです。でも、なんとなくそうならないかなー、と棚からぼた餅を期待してもそんな幸運はありません。やはり物事を成し遂げたり素晴らしい作品をつくるのは意思と集中力です。

 

それとレオナルドの作品は、絵画表現技術開発とテーマ選択をいったりきたりしていたんだなと。そしてどちらかというとレオナルドは表現技法や、科学のほうに大きな興味があったようで、芸術家というより科学者であったんだろうなと思います。レオナルドの作品づくりは、感覚的な高揚感を得る活動ではなく、自分の合理的な科学への探究心を満たす行為でもあったのでしょう。

 

多作の画家の横尾忠則さんとか真逆ですね。テクニックなんかどうでもいいじゃん、ってアバウトなところも横尾さんの絵の魅力ですが、レオナルドはテクニックで満足できないものは完成させないし、完璧を目指した。そして完成した作品も手放したくなかった。

 

私は凡人の一人で、たいした仕事ができていませんが、才能というのは高い目標、集中力、継続的な努力ができる人でしょうね。

 

しかし天才を、ただ才能溢れる集中できる人として描くのではなく、なぜそうなったか、人間としての弱い部分もあわせて書かれていたので、凡人ももうちょっと頑張るか!という前向きな気持ちにさせてくれました。