こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

鳥居はシンメトリー効果のミニマルデザイン

鳥居(とりい)とは何か。

 

諸説あるらしいのですが、まずは神社仏閣などにおいて、神域と人間が住む俗界を区画する結界、神域への入口を示すもの。あるいは人が亡くなって鳥になって飛び立つときに羽を休める場所などとされています。

 

天皇陵をずっと訪ね歩いてきましたが、神社と同じように鳥居が設けられているのは、天皇の陵墓を神聖化し、代々の天皇を神格化していることに他なりません。天皇の神格化というと戦前の歴史から反発する人もいるだろうと思いますが、これがおかしいかというと、そうではありません。

 

日本の神社には、菅原道真や豊臣秀吉など、様々な人物が祭られていますし、日本の神というのは西洋の神とは異なって唯一無二のものでなく、八百万の神と理解すれば、誰が祭られていてもかまわないのです。強力な宗教がない代わりに、いろんな対象にお祈りするのが日本の文化なのです。

 

というくらいで、宗教の話はひとまず置いて、鳥居のデザインについて話をしたいと思います。

 

鳥居の形は、門としての形をしています。何かの入り口としての記号性も持っているわけです。鳥居をくぐるときに、ここから神聖な場所なんだ、と気持ちが切り替わる効果があります。

 

しかしその記号性よりも深いところで、人間の心理に影響を与える役割を持っているのではないかと、最近思うようになりました。まあこれは私の思い込みかもしれませんけど。

 

 

デザインの世界では、心理的効果を考えながらデザインを考えます。心理に影響を与えるデザインの要素はいろいろありますが、色が大きな役割を持っています。例えば、青は落ち着く色で、赤は闘志を湧き立てる色、白は清潔な色など、色にはそれぞれ心理に与える影響や役割があり、また色を組み合わせることで、心理的な効果を生み出すこともできます。

 

そして造形という面でも、心理学的に使えるものがあります。建築やプロダクトデザインでは、形から受ける印象を利用して様々なものをデザインしています。

 

立体物のデザインにおける基本的なアプローチにシンメトリー効果というものがあります。左右対称の形にデザインすることです。左右対称にすることで、安心感、安定感、権威、信頼性などを感じさせることができます。

 

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上の写真は神武天皇陵ですが、シンプルであるからこそ左右対称の美しさを強く感じさせますね。

 

また日本人は自然を愛でる価値観と文化があり、自然の中の非対称性の美しさに対する感性も、日本人の中にあると思います。

 

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左右非対称の自然と、左右対称の人工物。そのコントラストが、日本の神社の視覚的心理効果として大きいのではないかと思うのです。これは日本独特の文化のような気がします。

 

この鳥居の持つ最も大きな役割は、門の記号性や鳥の羽休めではなく、シンメトリー効果ではないか、と思うのです。

 

ちょっとこの話は思いつきで書きました。もう少し考えがうまくまとまったら、文章を補完したいと思います。