何年か前に、ミレニアム・ドラゴンタトゥーシリーズというスウェーデンの小説を読みました。すごく面白い小説で、スウェーデンでは映画化され、三部作とも劇場に観に行きました。主人公のリスベット・サランデルはとても変わっている女性で、少年のようなガリガリの体に、ドラゴンのタトゥーを入れていて天才的なハッカーなんです。心に深い傷を持っていて、犯罪行為も平気でやっちゃう根っからのアウトローなのですが、母親を大事にしていたり、女性を痛めつける悪い男をやっつけるという熱いハートフルな人物でもあります。バイクにも乗っていてとにかくクールなキャラですね。
ダニエル・クレイグ主演で、ハリウッドでもリメイクされましたが、私はスウェーデン版の映画のほうが好きです。
話は変わりますが、海外の観光地に夏場に旅行に行くと、タトゥーを体に入れている人が多くいることがわかります。タトゥーは西洋の世界では珍しくありません。おっちゃんから若い女性まで、みんな好きな柄を体に彫っています。ファッションやアートとして、社会的に認められています。
サッカー選手もタトゥーを入れている人は多いですし、ミュージシャンも入れていますね。一昨年自殺したリンキンパークのチェスターもタトゥー好きで有名でした。チェスターの死は残念でした。
ところが日本では、反社会勢力(ヤクザ)=入れ墨という図式があるせいか、温泉などへ行くとたいてい「入れ墨・タトゥーお断り」と書いてあります。
私が子供の頃は、今ほど銭湯や温泉の「入れ墨の人は入浴禁止」は厳しくなくて、よく入れ墨作品を拝見させていただきました。子供心に、怖いというより「すごいなあ」としか思わなかったのですが、いつの間にか次第に銭湯や温泉、プールでは「入れ墨・タトゥーお断り」と書かれるようになり、今ではほとんど目にすることはなくなりました。
テレビでもタトゥーを映すか映さないか、グレーゾーンですね。NHKは厳しいみたいです。タトゥーを入れていた安室奈美恵さんが紅白に出場した後に、クレームの電話がいっぱいあったらしいですね。
暴対法ができてから、反社会的な人物を一般社会から隔離しようという流れが強くなったからでしょう。日本では入れ墨に拒否感を持つ人が多いようです。
私は、タトゥーを入れていたとしても、その人個人の価値観と生き方なので、全く気になりません。ファッションとしての自己表現であると思っています。威圧感や嫌悪感も感じませんね。綺麗な柄だと感心します。だから個人的には、プールや温泉でお断りなんて、そこまで拒否しなくてもいいんじゃないかと思います。
最近インバウンド需要で経済効果を期待する日本では、タトゥーお断りの規制が厳しすぎるのではないか、という議論もおきていますね。
ただ私が少々気になるところは、デザインや絵柄はちゃんとしたものを入れたらいいのになあ、という点です。アートじゃなくて勢いで適当な図柄を入れている人は残念な感じします。一度入れると消すのも大変なので。余計なお世話ですけど。