こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

SCR950というバイク(3)

前回の続きです。

 

SCR950を注文してから、納車までの2ヶ月ほどの間、期待と不安の間で過ごしました。実車はヤマハ系列のYSPにもまだ置いてません。なんとか情報を得ようと、時間があればネットで情報を探しました。

 

アメリカでは先行で販売していましたので、YoutubeでRezzilaのレビューがあがっていました。これはよく出来たレビューで、カメラアングルもいいし、動画は何度も観ました。動画を見てわかったのは、身長190センチの大男でも楽に乗れるポジションであること、スクランブラーっていってるけど、ベルトドライブだし、地面との距離も短いので、SCR950は、本格的なオフを走れない「なんちゃってスクランブラー」であるということでした。本格的なオフを走るつもりはなかったので、いろいろとわかった風なことを言ってるアメリカ大男のことは無視することにしました。

 

SCRを購入する人が必ず観ている横浜ヤマハの店長のレビューも、納車日までにYoutubeにアップされていましたのでチェックしました。こちらの動画もよく出来たレビューで、SCR950の特徴をわかりやすく伝えてくれてました。店長は身長が低い方なので、足つきや取扱いに関するSCRへのネガティブな発言が多かったのですが、かえって私には安心するところもありました。身長低い人が扱いにくいのなら、身長高い自分にはフィットしているんではないの?と期待感を膨らますことができたからです。しかしハンドルのきれ角については、若干不安を感じ、後述しますが不安的中となりました。

 

さて、納車の日。

お別れとなるCB400SBに乗ってバイク屋に向かいました。新しいバイクとの出会いは嬉しいのですが、今まで乗っていたバイクと別れるのはすごく寂しい気持ちになります。いろんな思い出を一緒に作ってきたからです。CBよ。今までありがとう。バッテリー上がり以外、トラブルも故障も無くてよかった。事故が無くて本当によかった。さようなら!

 

さて、SCR950に初めて乗りました。車体は予想通り大きく、シート高さは830センチですが、私にとっては足つきには余裕がありました。ハンドルはオフロード用でかなり広めで扱いやすいと感じました。今まで慣れていたCBのライディングポジションとはだいぶ違います。おっかなびっくり慎重に乗りはじめました。とりあえずガソリンスタンドへ向い満タンにします。

 

初めての大型といっても、一応免許もありますし、CBに長年乗っていた経験があるので、走るのはすぐに慣れました。しかし最初はいろいろ苦労することがありました。日本ではほとんど売れていない車種です。ツーリング先で見たことありません。ネットにもあまり情報はありません。このブログに書く私の感想も、もしかしたら購入を検討している誰かのお役にたつかもしれませんので、いくつか参考までに記載しておきます。


ヤマハ店長のレビューで問題を指摘していたステップの位置。確かに足をおろすと脛にあたる場所にあります。しかしこのステップの場所、スタンディングで走る場合にすごくいい位置なのです。が、停車して足を下すと脛にあたります。しかし私の場合、この問題はすぐに解決しました。少し腰を下げて乗ると足を下したときに、あたらなくなるのです。SCRを選んだ理由のひとつにシートがフラットであることがありました。CBのえぐったシートはポジションがかなり制約されるので、フラットのシートには期待していました。


SCRはシートがフラットであるため、期待通りライディングポジションの自由度が高いのです。前傾で乗るときは腰を下げれますし、前のほうに座れば体を起こして乗ることが出来ます。ただ、シートの前のほうは身長の低い人の足つきに配慮して、細くしぼっていているため、後ろのほうよりも座面が硬くなっていて、長時間座るとお尻が痛くなっています。ということで横浜店長レビューのステップの位置、シートの固さについては、私には関係ありませんでした。ついでにニーグリップの邪魔になるというエアクリーナーの位置も腰を下げることで膝にあたらなくなり無問題です。このバイクは足の長い人がメインターゲットなのです。CB400とは違うのです。

 

でも喜んでばかりはいられません。いろいろと問題はありました。 私が最初に困ったのは、クラッチのことでした。やたらクラッチがグリップより離れているように感じました。手が大きい人用に設計しているかのようです。確かにアメリカ人の手はでかいですが。

 

実はそんなに広くないのですが、SCR950のハンドル幅が広いために、腕が開いて指がクラッチレバーの外側に向いてしまうので、そう感じてしまうのです。クラッチレバーの形状は内側がハンドルに最も近く、外側のほうは離れています。レバーの内側を握るようにするとマシになりました。

 

ただし少し重いようです。私がCBに乗っていたときは、いつも信号待ちではギアをニュートラルにせず、クラッチを握ったままでした。その乗り方で一日乗っても手は疲れません。その乗り方でSCRを2時間ほど乗ったら、手が疲れて握力が低下してしまいました。広くて強いクラッチを信号待ちで握りっぱなしは、私の筋力を疲弊させ、握力を消耗させてしまうのでした。信号待ちの際にはニュートラルに入れてクラッチレバーは握らない乗り方に変えると楽になりました。

 

ウインカースイッチもちょっと使いにくい印象です。CBはさすがに長年改善されてきたバイクです。ウインカースイッチも使いやすいく完成されています。それと比べるとSCRのスイッチは扱いにくい。小さいし、おまけにふにゃふにゃして入れにくい。ホンダのはメリハリきく操作感なんです。ヤマハさんは評価ちゃんとしてんのかな?他社と比較してスイッチがこんなふにゃふにゃでいいのかな、と思います。こういう小さな配慮が車を作れるメーカーとの違いなのでしょうか。デザインはヤマハのほうが好きですが、GKデザインという社外委託での開発。社内のデザイン組織がしっかりしているところは細かい操作性も改良を重ねているのだろうと思います。まあこれは小さなことですし、慣れました。

 

一番私が困ったのは、ハンドルの切れ角X250キロという重さによる取扱いのしにくさです。私のバイク保管場所は、マンションのバイク置き場です。そのバイク兼自転車置き場は、マンションの敷地内の一画にあり、道路から1メートルほど高い場所にあります。自転車やバイクは10数メートルのスロープを利用して道路に出るようになっています。スロープの勾配は自転車に乗るのなら楽勝ですが、CBを人力で押して上るのはかなりしんどいレベル。エンジンをかけないと上れません。スロープの幅はそれほど広くなく、自転車のすれ違いは出来ません。おまけにスロープは途中で直角に曲がっています。このスロープがあることはバイクの盗難防止にはすごく効果的で、よくある盗難の手段、ロックしている前輪を代車に載せて動かすという方法はスロープのおかげで不可能なのです。学生時代にバイク盗難にあったことにある自分としては、安心の駐車場所で、CBもハンドルロックだけで置いていました。しかしそのスロープのコーナーをSCRが曲がることが出来るのか、とても一番心配でした。

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結果として、スロープを曲がっての駐輪場からの出し入れは出来たのですが、不安どおり狭いハンドルきれ角のせいで、3度ほど後戻りと切り返しを行わないと曲がれませんでした。しかもスロープ下り方向の切り替えしの場合、250キロの車体を上り勾配へ後退させる必要があり、とても大変なのです。バイクを停める場所が勾配あるところだと、発進しやすいように後ろ向きに停めたりしますが、重量のあるバイクを自力で後ろに登らせるのはとても難儀ですよね。このスロープのコーナーを攻略し、スムーズに曲がれるようになるまで、半年くらいかかりました。SCRには専用のサドルバッグも付けてもらったのですが、曲がるときにバッグが角に引っかるので、出し入れに慣れるまではバイクから外してました。

 

困ったことは大体それくらいで、全体的には満足しています。次回はSCR950のおすすめポイントを書きたいと思います。

 

 

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