こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

断酒とドラッグについて

お酒を飲まない生活が普通になってきて、日常生活も変わってきました。

 

夜にいろいろ家のことが出来るようになりました。酔っていたとしても、日々のルーチンワークは出来ましたが、普段やってないことや新しいことは、酔っていると苦手でした。頭を使うことがめんどくさくなっちゃうんです。素面の状態と酔っている状態の一番大きな違いは、考える力と気力だろうと思います。

  

ここ半年で特に変わったのは、パソコンに関係すること。会社と自宅のPCの整備とデータの整理が完璧になりました。机の周りもすっきりしたので、仕事や趣味の作業効率もあがりました。前から気になっていたPCの冷却異常音も、ファンを交換して静かになりました。分解して部品を交換するのが面倒なので、うるさいのをずっと我慢してたんです。交換部品を買っていたのに放置していました。

 

使いにくいな、不便だなと思っていることがあっても、酔っ払いは気にしません。お酒を飲まなくなってから、何か解決手段があるのではないか、と考えるようになり、改善をするようになりました。人間は日常の小さなことで幸せを感じることが出来るんだなと、最近よく感じます。ホームセンターで便利グッズを見つけて、取り付けててみたら少し快適になったとか、引き出しの中を整理したら使いやすくなったとか、たまっていた郵便物を仕分けして捨てたら、達成感があるとか、日常の小さな喜びって意外とたくさん転がってるんですね。お酒を飲むと面倒な気持ちになって、そういうものを後回しにしていたようです。

  

最近、有名な女優が薬物で逮捕されてニュースになっています。一緒に作品をつくってきた人達に迷惑をかけたことで、本人は心苦しいのではないかと思います。リスクは理解していて、それでも止めることが出来なかったのが、薬物の依存性の強いところです。

 

私は覚せい剤や、幻覚剤、興奮剤、大麻などの違法薬物を使ったことはありません。でも、もしそれらが合法で、簡単に入手できたとしたら、それなりに使っていたのではないかと思います。そう思う理由は、自分もアルコールやたばこの習慣を長年やめられなかったからです。もっと快楽性の高いものなら、手を出していたのではないかと思うのです。

 

最近オンデマンドで、「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」という映画を観ました。薬物中毒のミュージシャンが野良猫を拾ったことをきっかけに立ち直っていく実話を元にした映画でしたが、自分も環境がそうだったら同じように依存してたかも、と思いました。

 

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たばこやアルコールでさえ、止めるのはそれなりに大変だったので、ヘロインだったら、もうどうなることでしょうか。依存性の強い薬物の流通を止めるためには、販売者だけではなく使用者も逮捕されるのも仕方がないと思います。

 

違法薬物ではないにしろ、私も無事に煙草とアルコールをやめることができたわけですが、それは加齢による脳の変化の影響もあったからではないかと思っています。

 

ドラッグは、若者ほど依存してしまうといわれています。人間の脳というのは、下等な生物の脳から、進化する過程で増築されて大きくなってきたそうです。今の人間の知的レベルに最適化されている脳ではなく、アホな爬虫類とかの生き物の脳を核に、哺乳類生物の脳が進化の過程で何層も増えてきたというイメージですかね。そして人が生まれてから年をとっていく過程でも、脳の構造は、動物的な器官と人間らしい器官の接続部分が変化していくらしいです。だから若い時は血の気が多く、年をとると性格が丸くなるとのこと。人間性の円熟は、経験を積んだからでなく、脳の構造も成長とともに変化するからだといわれています。

 

ドラッグが影響を与える脳の報酬回路は、動物的な脳の部分です。若い時ほど依存性が高くなるのは、若い時は脳が未成熟であるかららしいです。それに若者は世間のルールを嫌います。理不尽なように思える社会の仕組みが嫌いなのです。ドラッグを使うと、反社会的な行為をすることになるので、ルールを守っている人間に対し、優越感を抱くことができるのです。かっこいいとか、自分は特別であるとか、そう思っちゃうのでしょうね。たばこだって不良の象徴で、高校生はイキがって吸いますし、私もそうでした。

 

でも大きな勘違いなんです。そういう反社会的なイメージのドラッグも、自分が嫌いな社会システムの一部ということがわかっていないのです。誰かが得するビジネスに騙されて手を出しているだけ。かっこいいところなんて何もないのに、そう思わされている。クラブでキメたとしても、飲み屋で酔っぱらって上司の愚痴を言ってる、中年のオヤジと何も変わりはないのに、自分は特別でイケてると思い込んでるんですね。

 

ドラッグに依存するというのは、本当にカッコ悪いです。何がカッコ悪いかというと、人として生まれて、生きている意味をつくる自分の幸せ感を、化学反応によって感じていることがカッコ悪いです。化学薬品で幸せになるなんて、化学薬品で生きる目的を満たすなんて、自分の人間の尊厳を否定するのと同じです。生まれた時から死ぬまで、朝から晩まで薬物に浸って多幸感を味わって人生を終える人をみて、羨ましいと思うでしょうか。

 

お酒もドラッグの一種です。飲まないほうが自然なことだと、私もお酒をやめてから考えるようになりました。薬物による幸福感は、日常の幸福感の無駄遣いをしているだけです。まあ考え方は人それぞれですが、私はやっとそう考えられるようになりました。