こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

高齢運転者の事故について

ニュースでは高齢者の運転による交通事故について頻繁に報道されています。

 

アクセルとブレーキを間違えて店舗に突っ込んだとか、歩道の歩行者をはねたとか、バックで急発進したとか、高速道路の逆走など、ニュースを聞くに度にまたかと思います。そしてアナウンサーやコメンテーターの高齢者の運転能力低下と免許返上の話も毎回同じ。

 

ニュースで取り上げられる頻度が多いので、事故がどんどん増えているかのような気がします。やはり高齢化社会になっているから当然なのでしょうか。

 

実際に数値がどうなのか気になって、高齢者(75歳以上)の免許所有者数の遷移を調べてみました。

 

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平成21年から比べると2倍近く明かに増加しています。

 

でも意外だったのは以下の事故数のグラフです。高齢運転者による死亡事故数の遷移ですが、運転者数が増えた割には横ばい、減少傾向にあります。不思議ですね。

 

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高齢の運転者が増えて、死亡事故が増加しているわけではないのです。事故数も増加していると、思ってましたがそうではありませんでした。これはニュースで取り上げられて、高齢者が運転に気を付けるようになったからでしょうか。社会的な風潮もいい影響になっているのかもしれません。

 

しかし、数字が増えていないからといって、事故が放置されてよくはありません。交通事故は、被害者やその家族、そして事故を起こした本人の人生を不幸にします。

 

高齢者の免許所有者増加については、何年も前から議論されているのに、なかなか警察や行政は効果的な対策を打ちません。車の免許制度の改革が出来ないものなのでしょうか。

 

中型免許制などの追加などは、中型車の事故削減や安全性向上のためと、すぐに制度が変わりました。免許制度をより複雑にして、若い人のが減っても教習所の売り上げを減らさないという目的もあったのではないかと勘繰りたくなります。

 

確かに、難しい問題ではあります。田舎道で45キロくらいでゆっくり走らせている高齢者マークのついた軽トラをみかけますが、地方では車がないと生活できないし、高齢になっても農作業をされている方もいるので、車も必要だろうし、ゆっくり走るのも仕方ないなあ、と感じます。

 

対して、交通サービスが発達した都会では、車に乗る必要はありません。息子や孫や奥さんに、危ないから運転やめろ、とか言われても言うことを聞かない高齢者もいます。そういう年寄りはとにかく頑固。危ない運転をしていても、指図されるのが嫌い。こういう人達は事故を起こす予備軍かもしれません。

 

生活の場所によって、車の必要性は変わります。また、求められる運転スキルも違います。私は大阪で車やバイクを運転しています。大阪は車も多く、運転が乱暴だといわれています。荒い運転をするタクシーも多く、とくに自転車のマナーが悪いと感じます。会社で、地方の事業所から大阪へ転勤してきた人がいますが、大阪は電車が便利だし、運転するのが怖いから車を手放した、という人がいました。地方で普通に車を運転できていても、大阪の道路は走るのが怖くみたいです。

 

そういうことを考えると、全国一律に規制するのは無理があり、自治体によって免許制度を柔軟に運用するのも良いのではないかと思います。

 

あるいは、年齢が70歳になったら、速度制限と安全装置のある車しか乗れないように法規制するというのもよいかもしれません。高齢者は時速60キロまで出ない車しか乗れない、という規制にすると、田舎では不自由しませんが、都会では困るので、乗らないようになるでしょう。

 

車の運転を覚えて、路上で運転し始めた時、車の運転は運動神経や反射神経はなく、情報処理能力の方が大切であるということがわかりました。運動が得意であるかという肉体的な能力よりも、同時に様々な情報をみて、状況を判断し、何かあったらパニックにならずに落ち着いて行動する精神的な能力が求められます。運動能力の高い20代よりも40代のほうが保険料が安いのですし。高齢者の方がスピードを出さずに安全運転していることも多いでしょう。

 

高齢者の認知や判断、運動能力は個人によって異なりますし、都会と田舎では、求められる運転スキルも大きく違うので、なかなか解決が難しい問題ではあると思います。ますます進む高齢化社会においては、何かの免許制度での対応が必要だと思いますね。