こばるとライダー日記

Soliloquy of a man riding a motorcycle and a convertible

顔の好みが生まれる理由

オンデマンドで「あやしい彼女」という映画を観ました。2016年の作品です。家族に邪険にされてるおばあちゃんが、若返って歌で活躍するファンタジー・コメディ映画です。韓国でヒットした映画をリメイクした邦画です。面白かったのでオリジナルの韓国版も見ました。どちらも楽しい映画でした。

 

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日本版の主演は多部未華子さんです。顔のバランスが特徴的な女優さんです。すごい美人ではありませんが、どこか魅かれるところのあるお顔だちです。

 

なんで多部未華子さんの顔に自分は魅力を感じるのかなと、不思議に思ったので、顔の好みがどのようにして発生しているか、いろいろネットで調べてみました。

 

よくあるのは、人は自分と遺伝子的に離れている異性を求めるという説です。

 

例えば、太ってる人は痩せている人を、色黒の人は色白の人を、背の高い男性は背の低い女性を、目の離れている人はタヌキ顔を、というような話です。この話はもっともらしい理由ですね。自分の子の遺伝子を強化するために、異なる遺伝子を求める、という理屈が背景になっています。

 

しかし、考えてみるとおかしな話です。もし遺伝子的に離れた存在を本能的に求めるのであれば、違う人種に魅力を感じるはずです。日本人同士よりも、アフリカ人や欧米人との方が遺伝子は遠いはず。でも実際は、日本人は日本人を恋人にしたいという人が多いし、離れた遺伝子の異性を求めるという説は、ちょっと違う気がします。

 

これはたぶん性別の違いを、遺伝子的な話にすり替えているだけの話だと思います。男性も女性も、相手に異性的な特徴を求めますね。異性的な特徴は、わかりやすくいえば自分が持っていない特徴です。背の高い男が背の低い女性を選ぶのは、ちっちゃいほうが女性らしいと思うからで、子供が背が高くなりすぎると困るから、背の低い配偶者を選んでいるわけではないと思います。それは性差であり、離れた遺伝子ではありません。かえって同じ人種のほうが、性差がわかりやすいので、同じ民族で結婚したがるのだと思います。

 

また逆の話で、自分に似ている顔が好き、というパターンもあります。似たもの夫婦っていますよね。これもよくある話らしくて、親と仲がよかった子供は、恋人に親と同じような容姿を求めるようです。そういう相手だと、年をとると自分に似てくるということです。いい思い出や、子供の頃の欲求が強く刷り込まれていて、大人になっても影響を与えるというやつです。

 

私にとって、多部未華子さんの顔はどれともいえなくて、あのバランスが何か影響を与えているような気がするのですが・・・

 

いずれにせよ、視覚的な容姿の情報から、好みの異性を判断しているのは間違いありません。本人と会ったことが無くて、視覚的情報だけでいいなあ、と思うのですから。その好みが先天的なものか後天的なものかわかりませんが、個人的嗜好が存在しています。

 

生物の進化から考えてみましょう。

 

生物にとって、視覚という感覚器官はとても重要です。進化の過程においては、視覚という機能の発達は、大転換期、変異点だと言われています。

 

原始的な生物が、光を感じる組織を得たのが視覚機能の始まりです。それが次第に対象の形を認識できるようになってきて、だんだんと高精度な視覚へと発達していきます。視覚機能が発達すると、自分を捕食する大きな敵の接近を避けることが出来たり、触覚に頼らずに餌を発見することも可能になって、他の種よりも生存しやすくなるのです。進化の過程において、視覚機能の優位性は種の保存の大事な機能的だったのです。

 

そして視覚は、生存に役立つだけでなく、生殖行為などにおいても重要な役割を持つようになります。視覚的機能が発達すると、異性の体の大きさ、健康状態、力強さなどを視覚情報によって、交配相手を見極めることが可能になりました。選ばれるほうも、体毛の色であったり、大きな角であったり、動きによって、自分の遺伝子の優位性をアピールするようになっていきます。交配においては、より優れた異性の遺伝子を得ることで、自分の遺伝子を残す確率をあげることができるため、本能に突き動かされ、生命力の強い異性を求めるようになるのです。

 

と、いうような進化論的な話から、説明できるかなと思いましたが、マッチョやアスリートばかりがもてるわけでもありません。人間の好みはほんとうに複雑です。生殖のための遺伝子情報を視覚的情報から判断する、という単純なものではないようです。

 

結局よくわかりません、というオチがない話になってしまいました。何か答えを求めてこの記事を読んでくれた人には申し訳ないです。

 

多部未華子さんが、今年の冬公開の「アイネクライムナハトムジーク」という映画に出るという記事を読みました。この映画のタイトル聞いたことあるなあ、と思ったら好きな作家、伊坂幸太郎氏の小説で、読んでいたことを思い出しました。しかも本棚に入ってました。読みかえすと、いい小説だったので映画は観に行こうと思います。